乳がん と お酒 ①

Grazie🍇

 

乳がん：アルコールによるリスクを知っている女性は少ない

Tumore al seno : poche donne conoscono i rischi provenienti dall'alcol

(Fondazione Unberto Veronisi ウンベルト　ヴェロニーシ財団＊)より

＊ウンベルト　ヴェロニーシ氏ː　イタリアの腫瘍学者、医師、科学者、元保険大臣　

乳がんの治療と予防に長年貢献した、乳がん乳房温存法やセンチネルリンパ節生検の先駆者。

上記リンク内「乳がんとアルコール」の部分を以下に和訳。（太文字は私が追加）

乳がんの新規診断の5～11％は、アルコールが関係していると言われている。

数字にすると、イタリアだけで2,500〜5,000件になる。

エタノールとその代謝物であるアセトアルデヒドが、細胞の生殖機構をどのように変化させるかは、まだ完全には解明されていない。

アルコール飲料はエネルギー源となるため、太り過ぎや肥満の原因となり、乳がんをはじめとするさまざまながんのリスクファクターとなることは確かである。

さらに、アルコールの毒性は、生物学的な理由により、男性よりも女性の方が顕著であることも付け加えておく必要がある。

そして、エタノールは、ほとんどの乳がんを増殖させる「燃料」と考えられているエストロゲンの働きを強化する。

国際的なガイドラインによると、成人および高齢の女性のアルコール摂取量は、1日10g（グラス1杯）を超えてはならないことになっている。

しかし、消費量を測定する技量不足と、リスクが（消費量と）比例して増加する傾向を考慮すると、科学界は「がんを予防するためには、飲まない方がよい」と注意を促している。

ブリンディシにあるペリーノ病院の腫瘍・乳腺科部長であるサヴェリオ・チニエリ氏は、「安全な最低消費量について述べることが出来ないため、健康な女性にはこういう言い方でしか指示すことが出来ないのです。」と主張する。 

「目の前に病人がいれば話は別です。この場合、アルコール摂取はゼロではないにしても、いずれにせよ、時々たしなむ程度、摂取量を減らす必要があります。

腫瘍医による、時折の習慣だろうという判断ではなく、女性には正しい情報を得る権利があります。そういった判断は、逆の効果を引き起こす危険性があるのです。」

広島大学病院乳腺外科ブログに、日本人のお酒と乳がんリスクの関係に関して、

より具体的なデーターがあがっていた。　

『お酒と乳がんのリスク』
皆さんこんばんは。暑いですね～。なんと1000回に到達したのですね。ブログ開始3年（細かくは2年10か月）も経ちました。 始まりは笹田先生のブログ提案でした。…
 

8つの研究を統合した解析で約15万8000人のデータです。

1日飲酒量をアルコール量で0g、0～11.5g、11.5～23g、23g以上の4つの分類。
ちなみに
ビール350ｍｌ（5％）でアルコール14ｇ
ビール500ｍｌ（5％）でアルコール20ｇ
酎ハイ500ｍｌ（7％）でアルコール48ｇ

結果は全く飲まない０ｇと比べ乳がんリスクは関連ありでした。
0～11.5g　1.21倍増加
11.5～23g　1.28倍増加
23g以上飲む場合、乳がんリスクは　1.74倍増加

閉経前と閉経後女性に分けて解析しており、閉経後は飲酒量と乳がんリスク関連なし。

0ｇと比べ乳がんリスクは0～11.5g　1.05倍
11.5～23g　0.96倍
23g以上飲む場合、1.18倍

一方で閉経前女性は関連ありです。
0ｇと比べ乳がんリスクは
11.5～23g　1.19倍
23g以上飲む場合、1.89倍増加

アルコールをたくさん摂取すると女性ホルモンが上昇することで乳がんの発症に影響すること、閉経後の場合は、女性ホルモンは主に脂肪細胞から作られるとされていますが（ですので肥満の方のほうが、女性ホルモンが多く作られるといわれております）、対象患者さんは肥満の方の人数が少なかったため乳がんリスクに及ぼす影響が少なくなった可能性が考えれているようです。
いずれにしてもビール500ｍｌは飲みすぎのようです。
抜粋以上

がんプラスより  乳がん発症と生活習慣関連要因のまとめ

	国際的な評価	がん予防研究班	乳癌診療ガイドライン
肥満（閉経後）	確実↑	確実↑	確実↑
肥満（閉経前）	ほぼ確実↓	可能性あり↑	可能性あり↑
飲酒	確実↑	証拠不十分	ほぼ確実↑
身体活動（閉経後）	ほぼ確実↓	可能性あり↓	ほぼ確実↓
イソフラボン	証拠不十分	可能性あり↓	可能性あり↓
喫煙	可能性あり↑	可能性あり↑	ほぼ確実↑
受動喫煙	証拠不十分	可能性あり↑	可能性あり↑

出典：世界がん研究基金・米国がん研究協会「食物・栄養・運動とがん予防」、国立がん研究センター研究開発費による「根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」研究班（がん予防研究班）、乳癌診療ガイドライン(2)「疫学・診断編」2018年版をもとに作成

乳がんの再発とお酒　へと続く。