ナチュラル素材で車を製造するのは、
とりわけ新しい事ではない。
20世紀初め、ヘンリーフォードは、T型フォードの部品製造に、グルテンを使った。
今から15年前の時点で、
新車一台につき、20kg弱の部品を、自然素材で賄うことが出来ると言われていた。
バナナ:ドアと座席の充填剤として
サトウキビ:合成プラスチックに代わるビオプラスティックとして
ナッツ類:クラッチディスクの制作に。
大豆繊維:ハンドル、コントロールパネル、ペダルに。1915年からギアーシフトの製造に使われている。
アカバ(バナナ繊維):繊維ガラスの代用品として。衝撃、湿度に対する抵抗力を持つ。
ココナッツ繊維:床のカーペットとして
麻:車体パーツの製造に使われる鉄、アルミニウムの代用品候補。
大豆油:車体塗装に。また、車内装飾素材に使われるポリウレタンに似た素材を作ることが出来る。
リネン:車内装飾素材、座席の詰め物として。
オリーブの種:燃料タンク内部のコーティングとして。キャブレターガスを吸収し、爆発を防ぐ。
そしてこれからは、ますますリサイクル、アップサイクルが進んでゆくのだろう。
(La repubblica紙 2023年1月31日)
自動車産業における持続可能な将来は、EV化だけにとどまらない。
自動車部品のリサイクル化が進み、これまで埋めて処分されていた材料が利用されるようになってきている。
デザインとエンジニアリングのコンサルタント会社Callumの新しい研究によると、
コーヒー、卵、ナッツ、米、レンズ豆は、さまざまな車の内装部品に使用できるそうだ。
シャーロット・ジョーンズとイアン・カラムが率いるチームは、ビンテージポルシェ911の内装をベースに研究を進め、
2030年に自動車の内装として大量生産できる素材として、
コーヒーくず、卵の殻、赤レンズ豆、クルミ、米(期限切れで食用でない)などを特定した。
カラムの専門家は、グリーンテック企業であるオッタン社と協議を重ね、
自動車に求められる厳しいデザイン、環境、エンジニアリングの要件を満たしながら、
プラスチックに代わる最も適切な素材を特定したのだ。
卵の殻を樹脂に混ぜて、表面に光沢やつやのある滑らかな素材を作るというソリューションが確認され、
クルミの殻を加えることで、Ottanの素材のリサイクル率は84%に達した。
賞味期限切れの米やレンズ豆は、ランプのカバーや照明付きスイッチに最適な滑らかで半透明の素材に生まれ変わる。
また、耐火性の代替素材として、廃コーヒー粉は従来のプラスチックに代わり、
ダッシュボードインサートなどの光沢のある装飾仕上げに使用することが可能だ。
また、紫色のニンジンパルプは桑の実のような色をトリムに、
木の葉は暗く滑らかな表面にリサイクルされ、センターコンソールやダッシュボードにウッドパネルに代わる自然な仕上げを提供することが可能である。
耐摩耗性、快適性、色の耐久性が求められるシートに、カラムは埋め立て処理される予定の古着を選びました。
カラムの素材・サステナビリティ責任者であるジョーンズは、次のように説明します。
「世界では年間約6200万トンの繊維が消費され、衣料に使用される繊維全体の約87%が埋立地や焼却場に送られています。
プランクなどの企業はジーンズを細断し、片栗粉やコーンスターチでプレスして硬いベニアを作り、シートシェルやダッシュボードに使用できるかもしれません」。
カラムのプロトタイプでは、シートカバーにポリエステルなどの海洋性プラスチック廃棄物を原料とした生地「カミラ」を、
アームレストの表面にはペットボトルを原料としたソフト部材「フェライン」を、
カーペットにはナイロンマットや漁網を利用して新しいハードウエアを作る「エコニル」を採用した。
つまり、このデザインスタジオは、メーカーやサプライヤーが、より持続可能で、
ユーザーからますます求められている技術的な代替案を見出す手助けをすることを目的としている。
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